夜は妄想の時間。日常の向かい側のホラー

その晩は月夜だった。ほどよく浮かんだ雲に白い月光が反射して明るい夜空が広がっていた。 帰宅する道すがら、ふと見ると巨大な獣が横たわっていた。 もちろん、それは獣などではない。マンションの建設現場に置かれた大型の重機だった。差し渡し15メートルはある現場の幅一杯に、それは長いアームをだらりと伏せてうずく…