日進月歩
子供は成長するものであり、そのことをわざわざ事細かに言う必要はないじゃないかと、思うかもしれない。
確かにそれはその通りなのだが、人は親となるとどうも客観的思考力というものが幾分なりを潜めるようで、お座りが安定したとかおもちゃが片手で持てるようになったとかでいちいち騒ぎ立てたくなってしまう。
当然、心配事もある。
むしろそのほうが強いかもしれない。
例えば、自分の子供はまだ寝返りができない。
仰向けに寝ている状態から、くるりとなってうつ伏せになるという、赤ちゃんの「できるようになること」の第二段階ぐらいにあたるステップとみなされているものである。これは早い子供だと生後3ヵ月ぐらいで達成してしまう。
寝返りができないので、当然ハイハイもできない。我が子は8ヵ月である。そんなものは個人差があるのだから、気にしなくても良いよと夫婦で話している。しかしそんな余裕綽々の発言の裏には一抹の焦りがある。
特に、近所の同じくらいの赤ちゃんが軽々と這いずり回っている話などを聞くと、訳もなく我が子よ頑張れなどと思ってしまう。
勢い、むずかる赤ん坊を無理やりうつ伏せにしてハイハイをさせてみようとしてしまう。
なるほど、これが教育パパというものの片鱗なのだ。
この事をしっかり覚えておかないと、とんでもない独善オヤジになってしまうぞ、と胸に刻んだ。