空論オンザデスク

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神奈川県公立高校入試について

神奈川県公立高校入試について

入試問題の分析などはいろんなところで既に侃々諤々と言われているので今さら自分がいうことではないと思いながら、また次年度に向けた備忘録として解いた印象だけを書くことにする。

まず英語。
びっくりしたのは問2の単語記述。昨年までは親切設計で、きちんと下に和訳が載っていたのにそれが見事に消えている。文脈理解が必要な問題になってしまった。英作文は、数は増えたものの去年より書きやすい設計になっている。ここはむしろ簡単である。長文の単語量が全体で2~3割増えている印象。以前の自校作成問題ほどではないが、読解のスピードと効率の良さを要求する入試になりそう。
予想平均点 /56点(昨年59.6)

国語。
特に言うことなし。
どの問題も昨年とほぼ変わらない形式&難易度。
論説文の記述が、50~60字だったのが100~110字と倍に増えたことくらいか。しかし、この記述は、ほとんど答えがすぐ近くに書いてあるためむしろ昨年より易しい。
予想平均点 /63点(昨年60.8)

数学
確率が問2の一行問題に成り下がり、かわりにヒストグラムがでた。やはりこれからは統計学だということだろうか。ただ、問題じたいはそんなに難しくない。慣れないものに当たって面食らわずに冷静に対処できればとける。問6は本当に難しい。これのイ、ウあたりは捨てたほうが正解かもしれない。
予想平均点 /50点(昨年51.7)

社会。
難易度は変わっていない。傾向も同じ。特に驚きのない問題である。
ちょっと意外だったのは岡山県の都市まで突っ込んで地誌を出したこと。神奈川も変われば変わるものだ。中学入試の問題かとおもった。
社会は例年必ず出続ける問題があって、それは、世界の気候(雨温図)、時差の計算、割合の計算と地図の塗りわけ、地形図。これらはもはや恒例である。それ以外で、2年連続で触れているのが、日本の端の島、江戸時代の出来事の並び替え、三権分立の説明、労働三権景気変動、年中行事である。こうしてみると、パターンが読めるようで読めない。
予想平均点 /50点(昨年49.5)

理科。
昨年のショックからさらに難しくなったと持ちきりの理科だが、昨年ほどは急激な難化はない。でも難しいは難しい。
予想平均点 /35点(昨年38.6)

予想5科平均 254点(昨年260.2)
全体的には少し下がるのではないかと予想してみる。これが希望的観測でないことをねがいたい。




ところで、社会の問5のイの2を解いて違和感を感じた人はいないだろうか。

問はこうなっている。

日本国憲法が定めている権利のうち、公共の福祉による制限をうけないものとして最も適するものを~略~

1~3省略
4.社会の課題を学問的に自由に研究すること

ちなみに正解は4。
どんな種類の人権であれ、人権にそもそも備わっている「他人の人権をおかすことまではできない」という意味の一元的内在的制約がかかる、というのが今の通説であるはず。そういう初歩の憲法学からすれば、この問題は前提からして間違っている。
確かに条文には書いてないけれど。
学問の自由をはじめとする精神的自由権は、民主主義の拠って立つところとして他の人権(経済的自由権など)よりも制約にはより厳格な条件があるべき、としている。さらに、学問の自由には純粋な研究の自由と研究発表の自由、教授の自由があり、最初のものは内心の自由としてとりわけ制約されづらい、よっぽどのことがないと制約してはいかん、ということになっている。けれど、それでも完全に制約フリーと言ってしまうのには疑問が残る。
近年、科学技術の発展に伴い、純粋な研究にも社会的要請からある程度の制約があるべき、とする意見が出てきているようである。より具体的には核技術や生命の操作に関する技術である。それらを自由に認めてしまうには社会の安全や倫理の面で問題があるということだ。もしかしたら、作問者はそういった流れに抵抗したい側の論者なのかもしれないと邪推してみたりした。