ライラの冒険 黄金の羅針盤
意地悪な大人たちに耐え、選ばれし少女が冒険を繰り広げるという、
一種のファンタジーの王道とも言えるお話。
ユニークなのは、当時流行した平行世界という概念を(狭義の)SFではなく、ファンタジーに取り入れたこと。それを魔法理論として成立させたこと。ダイモンという、人間と魂を共有する動物たちを描き、それを物語の核心として引き立たせたこと。
イギリス製のファンタジーは、こういう、世界観を作り上げるのにマニアックなまでのこだわりがあると思う。魔法を当たり前のこととして成立させるために、現実世界で科学があたりまえであるのと同じくらいその理論と応用を作り込んでいる。
ただ、アメリカのそれと違って、英国ファンタジーはあくまで子供を対象としているから、どうしてもご都合主義的な展開にならざるを得ない。ライラはあくまで無力な少女だから、彼女が数々の強敵に立ち向かうには、ピンチの時に都合よく現れてくれる強力な味方が必要だ。ただ、それを口やかましく非難してはいけない。
宮崎駿氏がいつか言っていたように、少年と少女が手を取り合って、知恵と勇気で悪い大人に立ち向かうのがファンタジーの良さというものなのだ。
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