空論オンザデスク

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子育て、親育てを中心としたブログ 教育本、子育て本、鉄道もの、プラレール、トミカ系おもちゃなども。

アンネの日記を読み始めた

アンネの日記 (文春文庫)

アンネの日記 (文春文庫)

この年になって恥ずかしながら初めて手に取った。世間を騒がせた図書館蔵書ビリビリ事件がきっかけではない、と言っておく。

日記の始まりは1942年春。このときはまだ、アンネにも日常生活を楽しむ余裕が許されている。ナチスによるユダヤ人迫害政策は苛烈であったが、学校に通い、友達の品評を書いたり、ボーイフレンドと遊び回ったり、好きなことの大概はできていたよう。

しかし夏になると一変する。ユダヤ人追及の手は、アンネたちの住むアムステルダムでも激しさを増し、ついに「呼び出し状」が届くにおよぶ。家族は、かねてから準備していた隠れ家に移る。

父親の経営する会社の建物の一部を塞ぎ、外部から分からなくした一角に、アンネ・フランク家四人と、ファン・ダーク家三人、あとから歯科医のデュッセル氏が加わり、長い隠れ家生活が始まる。

閉鎖的な環境に8人がひしめき、いつ発見され捕まってしまうかという恐怖のため、ストレスがつねに高い状況である。
互いに些細なことで言い争い、その度にアンネの若い心が反響するのが分かる。
互いの不仲に心を痛めながらも、自分がその台風の目になってしまっていることを、開き直りながらも悩みつづける。理解が欲しい年頃に、周りの大人は答えてやれない。いらいらが募り、また反抗し、また叱られの悪循環で、ついにいってはならない一言を母親に浴びせてしまう。

というところまで読んだ。

アンネは聖女ではなく、ごくあたりまえの、むしろちょっと扱いづらい十代の少女で、日記のなかはむしろ周りの人への悪口でいっぱいである。
しかしそのなかで、はつらつとした知性や未来への希望、つまりこれまた当たり前の感性が輝いているのだと感じた。