空論オンザデスク

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市立川崎高附属中について

市立川崎高附属中適性検査について

2月10日に合格発表のあった市立川崎高附属中について、考えたことをまとめてみます。

問題の難化


湘南ゼミナールさんの分析にもありましたが、昨年の問題よりかなり難しくなったことは確かです。というより昨年の問題が易しすぎたと言えるかと思います。ただ、いわゆる中学受験の難問というよりは、「奇問」という印象です。
どういうことかというと、入試問題はふつう、「正答が一義的に決まり、答えに対して別解や異論が出ないように論理的にしっかりした裏付けができるように」出来ているんです。伝統校の問題などは、解いた後にそうか、こうなるのかとすっきりした後味があるものが数多くあります。ところが、今回の市立川崎の問題は色んな解釈が可能で、答えを絞りこむのに必要な材料が揃っていない問題がけっこうありました。問われていること自体は割と簡単なんですが、ある問では説明が多すぎ、ある問では少なすぎて、どう解いたらいいのか分からない、と感じた生徒も多かったのではないでしょうか。それが作問者の意図なのかもしれませんが。
合格した生徒でも、必ずしもよく解けているとは言えません。合格ラインはもしかすると5割を切るかもしれません。そんな中で鍵になったのは、作文だと思います。作文の出方はそんなに変わっていません。ここで自分の意見をしっかりと書けた生徒が合格に近かったのではないでしょうか。

面接方式の変更


面接というよりは、グループディスカッションのような形式だったようです。何人かのグループに別れて、担当官からテーマを与えられ、さあ意見を出しあいましょう、という感じだったそう。募集要項には普通に「面接」としか書いていないので、受検生はだれもがふつうのいわゆる「面接」の練習を重ねていったのでしょう。始まってもみんな戸惑うばかりでなかなか意見を言える生徒は居なかったようです。合格した生徒のなかにも、ほとんど何も発言できなかった子がいた一方で、沈黙を破って発言できた生徒はやはり合格していました。来年度はこの形式に対して各塾が準備をしてくるでしょう。

応募人数の減少、倍率低下

2013年度の競争倍率は7倍後半、今年度は5倍弱。募集人員は120名と変わらないので、人気が早くも翳りを見せたのか、あるいは一年目の高倍率を見て敬遠した層が多かったのではないかと思います。校舎も新しく立派になったのに人気が低下するとは考えにくいので、おそらくそうじゃないかと思います。
県立の相模原中等や横浜市立南などは本当に高学力層が受けていますので、私立中の上位校を受けられる実力がないとまず受かりません。けれど、市立川崎はまだまだ標準層にも手が出ますし、実際に受かった生徒も偏差値50ない場合もあります。母体となる高校がもともとトップ校ではないし、進学を前面に打ち出している方針ではないから、志望する家庭も自ずと受験勉強をガンガンやらせるタイプではないのかもしれません。
公立一貫校として、私立とは違った方向性を持つことは妥当なことだと思います。せっかく公の機関なんだから、進学実績を伸ばして生徒をたくさん集めようとかいう経営的発想からは距離を置いてもいいでしょう。


まとめ

入学を辞退した生徒が何人かでて、そろそろ繰り上げ合格が出始めるのではないかと期待しています。その数によっても、この学校の今後がわかる、つまり私立を蹴ってでも進学するほどの価値があると思われているのかどうか。
適性検査の問題は先進的ではあるものの、まだ未完成な印象を受けます。面接の形式をいきなり変えたことからも、この学校が従来の受験界の常識に縛られない方向性をもっている反面、入試を運営することへの不慣れが見られます。
いずれにせよ、まだまだ市立川崎は揺れ動くでしょう。