空論オンザデスク

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第二次世界大戦の時代を舞台にした歴史改変ものの名作をご紹介

歴史改変ものとは・・・すいません。勝手に名前をつけていますがもし別に呼称があるなら教えてくだされば幸いです。

 
実在の歴史の中に架空の人物を滑り込ませ、史実の中にフィクションを展開してみせる小説のジャンルのこと。歴史好きかつSF好きにはたまらない設定であることが多い。
 

ケン・フォレット「凍てつく世界」 

凍てつく世界 I (SB文庫)

凍てつく世界 I (SB文庫)

 

凍てつく世界 II (SB文庫)

凍てつく世界 III (SB文庫)

凍てつく世界 IV (SB文庫)

 

「大聖堂」シリーズの著者としてご存知の方も多いかと思います。
「大聖堂」も2部作でしたが、これは3部作です。
第一部が、第一次世界大戦の時代を扱った「巨人たちの落日」。そして第二部がこの「凍てつく世界」。続く第三部が「The Edge of Eternity」という原題で、邦訳版は未発売です。
「The Century Trilogy」・・・20世紀三部作として、できれば第1作から手に取っていただきたい。なぜなら、シリーズを通して同じ家族が登場し続けるから。第一部で活躍したキャラの子供達の世代が第二部で、さらにその子供達が第三部で登場する、らしい。(第三部は私も未読のため)
とにかく舞台となる世界が広い。
世界をまたにかけて、というよりも、はじめは別々の土地で過ごしていたキャラクターたちが、ストーリーの進行によって出会い、それぞれの運命が交錯していく、という感じなので、パズルのピースが少しづつ完成していくようなワクワク感があります。
 

ケン・フォレットのその他の作品

「巨人たちの落日」

第一次世界大戦前夜のヨーロッパ。貴族社会が根を張るイギリスで、炭鉱労働者階級出身の姉妹と富裕な伯爵家の人生が交錯する。一方、新しい市民社会が形作られたアメリカ、帝政の矛盾が今にも噴出しそうなロシアでも新しい時代を担う世代が成長しつつあり、そんな中で大戦が勃発する。淡々と語られる主人公達の運命が時系列で進行する中、時代が大きくうねっていく。 

巨人たちの落日(上) (ソフトバンク文庫)

巨人たちの落日(上) (ソフトバンク文庫)

 

巨人たちの落日(中) (ソフトバンク文庫)

巨人たちの落日(下) (ソフトバンク文庫)

 
 大聖堂シリーズ

「大聖堂」

「大聖堂 はてしなき世界」

中世イギリスの架空の大聖堂建築を巡って、多様な人生が交錯しあい、「中世のリアル」が描かれます。2作品は全然違う時代を扱っているのですが、どちらも壮大で歴史物語としての迫力も十分です。とにかく壮大な時代の進行と、一人一人のキャラクターへのフォーカスが重層的に折り重なっていて、俯瞰から集中、集中から俯瞰の行ったり来たりが飽きない構成になっています。

大聖堂 (上) (ソフトバンク文庫)

大聖堂 (上) (ソフトバンク文庫)

 

 大聖堂 (中) (ソフトバンク文庫)

 大聖堂 (下) (ソフトバンク文庫)

 

大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫)

大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫)

 

 大聖堂―果てしなき世界 (中) (ソフトバンク文庫)

大聖堂―果てしなき世界 (下) (ソフトバンク文庫)

 

コニー・ウィリス「ブラックアウト」・「オールクリア」

 

ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

 

オール・クリア 1(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

オール・クリア 1(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

  

オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

 第二次世界大戦中、ドイツ軍がヨーロッパ大陸を席巻していた頃、ドイツとイギリスが英国本土を巡って激しく戦っていた時期がありました。「バトル・オブ・ブリテン」と呼ばれるこの長く熾烈な戦いは、長きにわたってロンドンを始めイギリスの諸都市を空襲の恐怖に陥れ、この陣頭指揮に立ってアメリカの参戦を勝ち取ったチャーチル首相はイギリスの英雄となっています。

 
その、ロンドン空襲の真っ只中に未来から来た歴史学者の卵が迷い込み、苦難に耐えながら生き抜いていくというドラマです。この、未来(2060年代という設定)の歴史学者というのは、すでに時間を遡る手段を発明しており、様々な制約があるものの「実際に」歴史上の事実を調査に行けるというものすごく便利なツールを持っているわけです。しかし、その機械が故障して未来に帰れ無くなってしまったら・・・。という、ちょっとベタな感じはしますが、とにかく話が細かい。物語の筋とはあんまり関係のなさそうな人が脈絡もなく出てきて、結構なページ数を取っていろんなことをやってて、最後の方になって、ああこの人がこれだからああいう風になっていたんだ、という、つまり伏線の張り方が反則的なほどに巧妙なんです。長いですけど耐えて読む価値はあると思います。
 

コニー・ウィリスの他の作品

ドゥームズデイ・ブック
これも、作者の持つ「未来歴史学者もの」の一つです。2060年代の航時技術のもと、実際に過去に遡って歴史研究を行う女子学生が、ペストが猖獗を極める15世紀イギリスに迷いこむというストーリーです。これもやはり、最初はしつこいくらいの細部描写が続き、最後は怒涛の伏線回収という、ウィリスお得意のパターンなんですが、初めて読むとものすごく感動します。
 
「航路」
航路(上)

航路(上)

 

 航路(下) (ハヤカワ文庫SF)

 

臨死体験」をテーマにした珍しい作品です。現代物で、主人公は臨死体験の研究者というストレートな設定ですが、最初から謎めいた展開が二転三転して、これもまた伏線貼りっぱなしという感じです。最後の最後で一気に疑問が氷解していく体験はすっきり爽快そのもの。学問的にもよく研究されていて、科学ドキュメントを見ているような、なるほど感もあります。

 

 

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