空論オンザデスク

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子育て、親育てを中心としたブログ 教育本、子育て本、鉄道もの、プラレール、トミカ系おもちゃなども。

星を継ぐもの 名作SFの引力

星を継ぐもの ジェイムズ・P・ホーガン

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

 言わずと知れたハードSFの名著です。

最近、露出が多いなあと思ったら漫画化していたんでした。

それはともあれ、初めて読んだ時のどきどきワクワク感が忘れられずまた購入して手にとってしまいました。

 

若い時は時間を忘れて食らいつくように読みこけていたものですが、10年以上経って読み返す時にはさすがにそういう風にはならないだろう。先もだいたい覚えているし、落ち着いてゆっくり読めるだろうという予想は見事に裏切られました。2歳の息子の遊んでくれ要求をかわしつつ、数時間で一気読み。物語というか、謎解きのプロセスに引き込んでいく引力はさすがの一言ですね。

本書はSFの形をとった壮大な謎解きです。テーマは地球と太陽系の歴史。ちまちまとした殺人事件とは訳が違います。もちろん、フィクションですからここに描かれている宇宙の真の姿というものは筆者の頭の中で作り上げられたものにすぎないわけです。けれどもそんな分かりきった御託はさておいて、大胆な発想と緻密な構想が、事実以上の真実の宇宙というものを見せてくれます。引き込まれます。

今、ウィキペディアを確認したら、ホーガンはすでに亡くなっていたんですね。この本を最初に手にとった時は確か壮健だったはずですが、その後に発表された「揺籃の星」などは似非科学扱いされてややいかがわしげな話題が付きまとった晩年ではあったのかもしれません。彼の小説の中に登場する宇宙は常にダイナミックで、現実の科学よりも分かりやすくエキサイティングだったから、こっちの宇宙を信じたいという気持ちになるのも無理はないなあと。似非科学というものが成立してしまう余地もそういうところにあるのかもしれませんが。

「星を継ぐもの」の続編は「ガニメデの優しい巨人」で、その次に確か「巨人たちの星」と続き、さらにいくつか続いたと記憶しています。読み終わって早々に耐えられなくなって続編のkindle版をダウンロードしてしまいました。これから読みふけろうと思います。