空論オンザデスク

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SF界鬼才の問題作「高い城の男」amazonプライムビデオでドラマ化

ディックの代表作がプライムビデオに登場

フィリップ・K・ディックの代表作「高い城の男」が、なんといつの間にamazonオリジナルブランドでプライムビデオに登場していました。しかも監督はリドリー・スコット

 (画像クリックでamazonプライムビデオのページに飛びます)

主演のアレクサ・ダヴァロスはフランス系のモデルさん出身で硬質な感じの美人。

こういうハードなストーリーには顎がしっかりした顔がよく合います。

 

 

たまたま検索してヒットしたんでもうびっくり。レビューによれば、製作発表は1年も前らしいのですが、そんな情報にはとんとお目にかかっていませんでした。情弱ですね。

あの、SFとも神話ともつかないブランドで不可思議の塊のようなストーリーをどうやって映像化するのでしょうか。

 

幸いにもamazonプライム会員だったため、(この時ほどプライム会員だったことを感謝したことはありません。)早速ダウンロードして、今第2話まで見たところです。

 

原作とのいい意味での相違

 

やっぱりというか、むしろ歓迎なんですが、原作通りではありません。

原作は心理描写と文脈の見せ方の巧妙さで描き出していた世界ですから、それをそのまま映像化したら、かなり間延びした感じになってしまっていることでしょう。

 

第二次大戦でドイツと日本が勝利しているという、いわばパラレルワールドを舞台にした物語です。

アメリカ合衆国は、「大ナチス帝国(Greater Nazi Reich)」と「日本太平洋合衆国(Japanese Pacific States)」に占領、分割統治されています。ちょうど今の朝鮮半島のように、ロッキー山麓の高地を中立地帯としつつ、その両側がそれぞれ別の国になっているのです。

 

支配下にあるアメリカ人は、支配国の苛烈な統治に屈しつつ、心あるものは自由の国を懐古し、レジスタンスを組織しています。

原作では、ナチス帝国は冷酷苛烈なファシズムの支配する国、日本太平洋合衆国は、支配者ながら東洋的韜晦と寛容さをある程度は持った国として、描き分けられていました。その点ドラマはより分かりやすく、支配者は弾圧者。秘密警察の残虐さと暴力をより強調させたような描き方に変わっています。

 

主人公格の1人、ジョーはニューヨークでレジスタンスからあるものを中立地帯の街に届ける任務を受け、旅立ちます。

一方西海岸のジョアンナとフランクは、普通の暮らしを送りながら、間接的にのしかかる支配国の圧力を感じています。

この3人が、やがて世界を変える力を持つと言われる映写フィルムを巡って、巨大な陰謀と謎に翻弄されていくというプロットなのです。

 

原作よりも、かなりスパイものっぽい雰囲気が濃くなってますが、そこはそれ。

映像はこのくらいスリリングじゃないと飽きちゃいますから。

この話の中心かつ核心に位置付けられているのが、さっきも出てきた映写フィルムです。タイトルを「イナゴ身重く横たわる」といい、原作ではフィルムではなく本でした。この辺り、粋な改変と言いますか、上手いなぁと思いました。本を読んでる姿なんて画にしても面白くないですもんね。

 

この、「イナゴ身重く横たわる」には、別世界の出来事が描かれています。すなわち、大戦でアメリカとイギリスが勝利した話、つまり今の我々が生きている「この」世界です。映写機に映し出される映像には、私たちが見たことのある歴史的なシーン、すなわち、Dデイの戦闘だとか、チャーチルルーズベルトスターリンの会談シーンだとかが次々と現れてきます。

私たちには既存の歴史でも、彼ら作中人物にとってはパラレルワールドです。

 

作り話だとも思えるし、映像が撮られているのだから真実なのだと信じたくもなる。実際、両帝国に分割統治されてしまっているアメリカ市民にしてみれば、この映像こそが真実だと思いたくもなるものです。これ、上にも書きましたが、原作では本でした。だから、「真実だ」と人々を信じさせる根拠がさほど強くなく、したがって物語も、「世界を変える」的な流れにはなりそうもありませんでした。

 

けれどドラマでは「映像」ですから、その説得力は活字媒体の比ではないはず。だとすると、結末は原作と全く違うものになるのでは、という予想も立ちます。

そのあたり、原作の救いようのなさが好きな人には幻滅なんでしょうけど、自分としてはもうちょっとハッピーエンドでもいいとは思います。

 

まだ2話を見たばかり。第1シーズン完了まであと8話あるので、じっくり見ていきたいと思います。

 

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