空論オンザデスク

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受験における過去問の効用と弊害

受験勉強の最後の関門 過去問

直前期の最も強力なツールといえば入試過去問。受験生でこれをやらない人はいないはずで、その重要性は言うまでもないです。過去に出された問題の傾向を読み取り、問題を解くことでその傾向を自分のものにする、それに同レベルの問題を解けるようにする。過去問の仕上げは受験勉強の仕上げ、過去問が解けて合格ラインに乗ることは受験前の最後の関門であると言えます。

 

過去問が完璧でも不合格になるケース

けれども、過去問が完璧にできている人でもあえなく不合格になるケースは実はとても多いのが現実です。3周も4周もやりこんで、すべての問題を暗記するぐらい解きこなし、合格ラインの点数を大幅に上回った人ほど、この陥穽にはまる場合があるということです。

 

そして、そういう人が受験後に必ず言うセリフが、「過去問と違う問題だった。」ということです。これまでと傾向が変わった、と口を揃えたように言います。慌てて問題を見てみても、私の目からはさほど大きな変更点はないように見えます。けれどその受験生は傾向が変わってしまったと絶望的な口調で言うのです。

 

過去問執着症候群

これは、「過去問執着症候群」だと思います。あるいは「過去問信仰」と言ってしまってもいいかもしれません。過去問にすべてをつぎ込み、過去問しか解けなくなっている状態です。もちろん過去問が解けるようになることは望ましいですが、だからと言って本番で解けるとは限りません。なぜなら、当たり前のことですが、過去問は「二度と出されない問題」だからです。

 

もちろん例外はあります。学校が、「過去問をやり込んだ進学意欲の高い受験生に有利な問題にしよう」という意図で問題を作成したならば、当然、過去問とほぼ同じ問題を出してくるでしょう。ただそういう学校でも、全く同じ問題は出さないものです。

 

原理の理解が重要

だから、問題の焦点は、「どのくらい過去問から離れた出題でも大丈夫なのか。」ということに尽きます。過去問を勉強するときに、解けなかった問題をフィードバックする場合、解くための手順だけを暗記しようとするのか、それとも解くための原理を理解しようとするのか、ということです。原理を理解できていれば、応用が利きますから、幅広い出題に対応できます。反対に、その問題の解き方だけをおさらいしているだけでは、その問題しか解くことができません。

 

そのための勉強法

原理の理解、と一口に言っても、一体何をやればいいのでしょうか。一般に、教科は幾つかの分野に分かれており、分野はさらに単元に分かれています。例えば英語なら、文法という分野に関節疑問文という単元があるということです。通常、初めて習うときは単元ごとに習得していきますから、その日に習ったものだけを使えば問題は解けます。けれど入試問題はあらゆる分野、単元の総合ですから、この問題はどの単元です、とか言ってくれません。だから、問題にあたった時にこれはどの単元のどの知識なり解法なりを使えばいいのかを判断しなければなりません。そして、この問い1の(1)は関節疑問文と動名詞の融合だから、疑問詞+SVが来てそのあとにingが来るとか、そういうことがわかれば、別の融合問題でもできるようになるのです。

 

ではどうやってそこまで持っていくか。過去問の解答解説に、この問題はこの単元の問題です、という部分があります。そこを活用しましょう。今までにやった問題集などから同様の問題を探してやってみます。問題の原理を参考書などで確認することも忘れずに。過去問の解答解説には基本事項は載っていません。

 

しかし、そこまでやる時間がないという人。もちろんです。時間は常に不足しています。効率よくやるしかありません。だから、過去問の中で「できていなければいけない問題」と「できなくてもいい問題」を分け、前者だけを徹底して追究するようにします。「できていなくてはいけない問題」とは、例えば毎年のように出ている単元(解答解説をパラパラと見ればわかります。)や、各大問の第1問目など、一般的な正答率が高い問題などです。

 

そうやって、理解が不足している単元の復習をしたら、ほぼ同レベルで傾向が似た学校の過去問をやることをお勧めします。自分の応用力がどこまでなのかを試すことにもなりますし、問題を幅を広げることで応用力そのものが身につきます。別の学校の過去問をやるときは、受ける学校と大体同じくらいの偏差値で、解答用紙が似ているものを選ぶといいと思います。「似ている問題」と言っても限りがありますし、選ぶのに時間をかけてもいられませんから。それから、解く順番としては資料を当たって受験者平均点が高い年度の問題からやるといいです。そういう年度のほうが問題が易しいことが多く、力試しには適しているからです。

まとめ

・過去問を解いたら、誤答を分析。「できていなければならない問題」にフォーカス。

・その問題に必要な単元を解答解説から割り出し、参考書、問題集で復習。

・受験する学校の過去問だけでなく、同レベル、似た傾向の学校の過去問も解き、応用力の幅を広げる。

 

受験生の皆さん、頑張って下さい。